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ルールと言つても、それほど難しい話ではないので氣樂にいきませう。
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書く前に押さへておきたい、漢文の特徴とは?
書きたいことを書かう
人工的な側面があるとはいへ、漢文も筆記言語です。
みなさんの書きたいと思つてゐることを、思つたまま書きませう。
でも、正しい文法に從はう
すべての言語に文法があるやうに、漢文にも漢文法といふ決まりごとがあります。
昔、日本人が漢詩を作つて中國人に贈つてみたところ、作詩作文のルールを無視してゐたために變な空氣になつたといふ話があります。
参考 漢詩もどき窮々自適後輩
先輩
詩と文はまた微妙に違ふので一概には言へませんが……
思つたまま書くといつても、やはり適當に書きすぎるのは宜しくないやうです。
漢文法といふ難しさうな言葉が出ましたが、べつにそんなことはありません。
しよせんは人間の産物。
同じ人間である我々に理解できない道理はありません。
語順に關する、もう少し噛み碎いた解説
頭に浮かんだ順に書いていく
たとへば頭の中で「私は日本人です。」といふ文章をイメージしたとします。
これを漢譯してみませう。すると……
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そのまんますぎて拍子拔けです。
- 「私」が居て、
- 「日本」といふ地名を提示し、
- 「人」を日本とつなげて所屬を表す。
ちやうど出來事の順番になつてゐますね。
じつさいに書いてみる
さて、それでは筆記用具を持つて、他の事を漢文で書いてみませう。
- 夜眠つて朝起きる。
- 互ひに戰つて大いに勝つた。
- これは本當に重要なのか?
先輩
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これが漢文のいちばん素直な形です。
書きたいことを左から右へスラスラ書いていく。
まるで、ひらがなカタカナの無い日本語のやうですね。
後輩
漢文特有の決まりごとによる語順
先輩
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ためしに以下の文を漢譯してみませう。すこし多いですが、ひとつひとつの文は短いです。
- 志を言ふ。
- あなたに志を言ふ。
- なにを言ふ?
- 言はない。
- 言ふべきだ
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それでは以下、書いていきます。
動詞は賓語(ひんご:目的語のこと)の前に置く
※賓語とは、目的語のこと。このサイトでは漢文における目的語のことを賓語と言ふことにしてゐます。
漢文では、動詞が賓語をとる場合、日本語と順番が逆になります(この順番が逆になることを「倒置」といひます)
上の畫像でも、綫がクロスしてゐますね。
- 行京(京に行く)
- 免費(費用を免ず)
- 爲王(王となる)
3つばかり例文を擧げてみました。すべて日本語と逆。
日本語で動詞が目的語をとる場合、助詞の「を・に・と」などが付きます。
つまり日本語で「を・に・と」が出てきた場合、それを漢譯するときは逆にしませうといふことです。
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賓語が2つある場合
もちろんどちらの賓語も動詞の後ろになります。
問題はその順番ですが、このへんの事情を書かうとすると、どう考へてもこのページに收まりきらないので、また別の機會にお話しませう。
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「何」などの疑問詞は1周囘る
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もつと奇妙なのが疑問詞の文です。
疑問詞の代表格は「何」で、文字通り「なに? どこ?」などの意味を表します。
ほかにも「安・孰」などありますが、長くなるのでここでは書かないでおきます。
この疑問詞が賓語にくる場合、倒置します。
つまり日本語と逆の語順になるものが、もういちど逆になり、1周囘つて日本語と同じになるわけです。
筆者は長い間この疑問詞の倒置現象に氣づけず、苦勞しました。
否定詞は否定されるものの前に置く
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否定詞に關しては、英語と語順がほぼ同じらしいです。しらんけど。
否定詞には「不・非・勿」などがあり、他にもたくさんあります。
全部紹介するとキリがないので、あまり深くは踏み込まないでおきます。
助動詞は動詞などの前に置く
「可・欲・敢」などが助動詞です。
助動詞も奧が深いので、またこんど詳しく書きたいと思ひます。
まとめ
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ただしここで説明したのは、あくまで文の組み立て方。
より良い文を書くならば、その時々で適切な字句を選ぶ必要があります。
そこらへんについても、いつかどこかで書きたいと思ひます。
▼文法的な話
漢文の基本的な形1 主語+謂語(述語)+賓語(目的語)