雙賓文の書き方、プラス介詞。「AにBを與へる」「AにBを問ふ」「AにBさせる」「AをBとする」

先輩! この前の記事で後囘あとまはしにした話題があつたよね?

後輩

先輩

今囘こんくわいはその内の1つ、雙賓文さうひんぶんをやるよ

 

以前の記事『漢文の基本的な形3』でかるく紹介した雙賓文さうひんぶんですが、もう少し突つ込んだ内容を書かうと思ひます。

なので、『漢文の基本的な形』シリーズをまだ見てゐない人は先にんでおくとよいでせう。

 

雙賓文とは、2つの賓語(目的語)を持つ文

  • 主語 + 謂語(述語) + 賓語(目的語)

漢文の基本はこの形である、といふことは「漢文の基本的な形」シリーズで書いたとほりです。

 

ですが、2つの賓語を持つ文があります。

  • AにBを與へる
  • AにBを問ふ
  • AをBとする
  • AにBをさせる

この手の文を漢文で表す方法があり、その形式の文を雙賓文さうひんぶん(双賓文)と言ひます。

賓語が2つあるから雙賓文さうひんぶんです。

雙賓文さうひんぶんにおける2つの賓語のことを雙賓語さうひんごといふことがあります。

 

直接賓語(主に人物・場所)と間接賓語(主に事物)

雙賓文さうひんぶんにおける2つの賓語のことを合はせて雙賓語さうひんごといひ、それぞれを直接賓語・間接賓語といひます。

  • 直接賓語は主に人物(と場所)
  • 間接賓語は主に事物

 

そしてこれらを組み合はせた雙賓文さうひんぶんの語順は以下のとほり

  • 動詞 + 間接賓語直接賓語

 

先輩

人物が先、モノが後 でおぼえておくといいよ。

特に「我・汝」などの人稱にんしよう代詞、「之」などの指示代詞は、ほぼ確實かくじつに間接賓語になります。

つまり定語ではない單獨たんどくの代詞は何も考へずに前に書いておけば大丈夫です。

 

場所や範圍を扱ふ文の場合

  • 公園で人に
  • 駐車場で車に

これらの文を漢文で書くなら

 

  • (+於)公園
  • (+於)駐車場

このやうにします。

 

場所や範圍はんゐを扱ふ文を書く場合、それぞれの賓語を書いた後に付けます。

それだけでも良いのですが、その際「於・于」などの介詞を間にはさむと分かりやすくて良いでせう。

先輩

介詞は前置詞とも。介詞はそのうち別記事でやります。今はとりあへず「まあ付けとけば良いんやな」つて思つておいてね。

 

場所や範圍に關する語は、賓語か? 補語か?

ここはあまり重要ではない上に長くなつたので、疉んであります。

  • 動詞 + 間接賓語直接賓語

上の方で紹介した雙賓文の語順はこの通りです。

 

しかし、同じく上の方で書いた場所や範圍はんゐを扱ふ文だと、少し違ふことがあります。

孟子・梁惠王章句上

〔漢〕其民於河東。

 

〔日〕その民を河の東に移動させる

ここでの「其民」は、誰か特定の人物ではなく、事物として捉へた方がシックリくるでせう。

それはそれとして、この文の語順は既述の語順と逆になつてゐることに氣付きづかれたかと思ひます。

 

  • 〔1〕其民於河東。
  • 〔2〕河東其民

なぜ原文では〔1〕の書き方で、〔2〕にならなかつたのでせうか?

先輩

この謎現象、かなりなやまされました。

 

色んな雙賓文さうひんぶんを見たり、資料をんでゐるうちに、感じたことは「場所や範圍はんゐを表す語は、賓語の後に置かれやすいんだな」といふことです。

 

「移其民於河東」の文にたいする解釋かいしやくは以下のどちらかだといふ結論に達しました。

  • 介詞を用ゐて直接賓語と間接賓語を倒置させた雙賓文さうひんぶん
  • 場所を表す語は補語で、介詞とともに文末に置かれた

 

數式すうしきつぽく表すと以下のとほり

  • [動詞] + [事物の直接賓語] + 於 + [場所の間接賓語]
  • [動詞] + [賓語] + 於 + [補語]

 

介詞を用ゐて雙賓語さうひんごを倒置させる方法は後述します。

場所や範圍はんゐを表す語は、場所の間接賓語か補語かのどちらかだと思はれますが、結論は得られませんでした。

文法的な本質はともかく、結果的に見た目ははりません。

なのでとりあへず「場所や範圍はんゐの語は(介詞とともに)後ろに置く」で大丈夫だと思ひます。

 

書き方の形式

何も付けない雙賓文

『孟子・梁惠王章句下』

〔漢〕必有司所之

 

〔日〕必ず家臣に行き先を告げた

漢文は簡潔な言語です。

どんな文であれ、基本は餘計よけいなものを付けず、文脈に任せることです。

 

介詞(前置詞)を付けて倒置し、強調する

通常はモノなどの直接賓語は後ろに置かれますが、

これを強調するために前に持つてきたい場合があると思ひます。

 

でも漢文で言葉を入れ替へたら、わけが分からなくなるんぢや?

後輩

先輩

そこで介詞を使ふのです

介詞かいしは言葉と言葉との關係性くわんけいせいを補足的に説明するための語で、詳しいことは後日別の記事に書くことにしませう。

 

介詞は前置詞とも言はれてをり、漢文の介詞はほぼ全て言葉の前に付けられます。

「AB」といふ文があるとして、Aに介詞「於」を付けるなら「於AB」、Bに付けるなら「A於B」になります。

 

「於・于」で賓語同士を倒置する

「於」はもともと「存在する」を意味する動詞で、動詞として見た時、「在」とほぼ同じ意味です。

それが變化へんくわして「~を・~に・~に對して」といふ意味を補足する介詞になりました。

先輩

「于」は「於」と同じ働きだけど、あまり使はれない印象です。

 

實際じつさいに使つてみませう。

自作・改變漢文

〔漢〕仁政

 

〔日〕王がもし民に善政を敷けば

これの「仁政」を「民」の前に出して強調したい。

「於」を使つて倒置させてみたのが次の文。

 

『孟子・梁惠王章句上』

〔漢〕仁政於民

 

〔日〕王がもし善政を民に敷けば

直接賓語の「仁政」が前に出て、間接賓語の「」に介詞「於」が付きました。

 

「以・將」で直接賓語を動詞の前に持つていく

「以」はもともと「使用する」を意味する動詞で、それが變化へんくわして「~を使つて・~を以て・~でもつて」といふ意味の介詞になりました。

先輩

「將」も同じ意味の介詞だけど、壓倒的あつたうてきに「以」の方が使はれてゐます。

 

この介詞を使ふことにより、「於・于」よりも強い倒置ができます。

それはつまり、直接賓語を動詞よりも前に持つてくることです。

自作・改變漢文

〔漢〕天下

 

〔日〕人に天下をあたへる

直接賓語「天下」に「以」を付けて倒置させてみると。

 

『孟子・萬章章句上』

〔漢〕以天下

 

〔日〕天下を人にあたへる

かうなります。

 

應用的な形、複合的な形

先輩

介詞にはこんな使ひ方もあるよ、といふことを紹介します。慣れたら使つてみてね。

といふわけで、ここらへんはみ飛ばしても大丈夫です。

基本的にたたんでありますので、興味のある人だけんでみて下さい。

 

倒置の倒置
「於・于」の場合
『漢書・爰盎晁錯傳』

〔漢〕出則於應敵

※「余」は「私」を表す人稱にんしよう代詞。

 

〔日〕出かけたときは民に敵への對處法を教へる

さつそく、上で紹介した形と矛盾してゐますね。

於應敵」から「於」をくと「應敵」つまり普通の雙賓文さうひんぶんになることが分かります。

ではなぜ、この文には「於」が書かれてゐるのでせうか?

 

思ふに、あまり大した意圖いとは無かつたんだと思ひます。

といふのも介詞、特に「於・于」の用法は多岐にわたるもので、そのため實際じつさいの漢文ではかなり自由ままに使はれてゐます。

加地伸行(2010:118)も「『於』字は、置いたり置かれなかつたりして一定してゐないし、いつどういふときに置くといふ規則もない」と述べてをり、漢文の適當てきたうさが感じられます。

 

  • 「ここで語句が區切れるよ」
  • 「この單語は注意だよ」
  • 「語呂を良くするために氣分で入れるよ」
  • 「あ、間違つて介詞を書いてしまつた。まあいいか」

そんなわけで、この文の作者は恐らくかういふ氣持ちで「於」を入れたのでせう。

 

先輩

「民於應敵」の部分は「間接賓語 + 直接賓語」とするほかに、「賓語 + 補語」と捉へることもできるけど、結果的に同じ見た目になるので、あまり氣にしなくて大丈夫だと思ひます。

いづれにせよ、私たちが書く際は「ここに何か介詞が欲しいな」と思つたらホイホイ入れてしまつて良いでせう。

 

「以・將」の場合
『楚辭・離騷』

〔漢〕肇以嘉名

※「余」は「私」を表す人稱にんしよう代詞。

 

〔日〕はじめて私にめでたい名前をあたへてくださる

この文も、今までとは違ふやうに見えます。

研究してみませう。

 

「以・將」が付いた言葉は、倒置しやすいといふ性質があります。

  • 以 + [A] + [動詞] + [B]
  • [動詞] + [B] + 以 + [A]

つまり、上の2つの文は同じ意味で、しかも相互に書き替へ可能なわけです。

 

それを踏まへて、例文を見てみると

  • 以嘉名(原文)
  • 以嘉名(書き替へ)

全く同じ文になることが分かりますね。

 

さらに例文から「以」を削除してみませう。「嘉名」になりました。

普通の雙賓文さうひんぶんやん!

後輩

まるでパズルのやうですね。

 

「何を強調したいか」「どうすれば音讀おんどくしたときの語呂がよくなるか」昔の人の工夫がみえます。

先輩

特に例文の『楚辭そじ離騷りさう』は詩なので、語呂の良さのためにこんな構文になつたんぢやないかな

 

2種類の介詞を同時に使ふ
『法華經』

〔漢〕以一切樂具於四百萬億阿僧祇世界六趣衆生

 

〔日〕一切の樂具を四百萬億阿僧祇世界の六趣の衆生に施す

長ぇ…

後輩

先輩

こんなに長い賓語もありえるんだよ

 

  • [以] + [直接賓語] + [動詞] + [於] + [間接賓語]

この文の構造はこの通りです。

「以」と「於」とが同時に使はれてゐますね。

なんでこんな構文になつたのでせうか。

 

試しにこの文を「普通の雙賓文」、つまり最も基本的な形に戻してみませう。

  • 四百萬億阿僧祇世界六趣衆生一切樂具
  • 施四百萬億阿僧祇世界六趣衆生一切樂具。

各賓語が長いので、どれが直接賓語でどれが間接賓語なのか全く分かりません。

このサイトでは各品詞を色分けしてゐますが、實際の漢文では黒一色。なほさら意味不明になりますね。

 

 

それはよろしくないので、介詞で「これが賓語だよ」といふマーカーを付ける必要があります。

またついでに「一切樂具」を強調したい。

そこで文をかう書き替へます。

 

  • 一切樂具於四百萬億阿僧祇世界六趣衆生

「於」によつて雙賓語さうひんごが分けられて、だいぶ分かりやすくなりました。

また「一切樂具」をもう少し強調したい。

 

  • 以一切樂具於四百萬億阿僧祇世界六趣衆生

さうして出來たのがこの文。つまり例文の形です。

「以」はともかく、なぜ「於」も書かれてゐるのか。

多分なんですが、文の作者が「『於』も付けて、『四百萬億阿僧祇世界六趣衆生』が賓語であることをキッチリ示しておかう」と思つたのでせう。もしくはたんなるミスか。

 

いづれにせよ、この手の介詞は作者の氣分きぶん氣遣きづかひ次第でどうとでもなるんですね。

む側はタイヘンだ

後輩

 

動詞による分類

授與 「AにBを與へる」

『史記・齊太公世家』

〔漢〕

 

〔日〕齊のくに魯のくに書を送つた

授與じゆよ(授与)とはつまり「あたへる(与へる)」こと。

詳しく言へば、「動作主が何らかのモノA(直接賓語)を對象たいしやうB(間接賓語)にあたへる」ことです。

 

授與動詞になり得る字

この授與じゆよくわんする動詞を資料等から拔粹ばつすいし、まとめました。

平仄 拼音 意味
與(与) yu3 對等たいとう關係くわんけいの相手に物を送る
yu3 同上
zeng4 同上
shou4 同上
賜/錫 ci4(錫はxi1) 目上の人から目下の人に物を送る
feng4 目下の人から目上の人に物を送る
獻(献) xian4 同上
平仄 shi1 あたへる。動作や行爲かうゐをほどこす。
wei4 物品を送り渡す。
饋/餽 kui4 食べ物や金品を贈る。
ji3/gei3 物品を提供する。
zi1 (援助するために)金品をあたへる。
fen1 分けあたへる。配分し割りてる。
假(仮) jia3 貸し出す。あたへる。
借/藉 jie4 同上
ji1 人に物を贈りあたへる。もたらす。持つてくる。
jia1 あたへる。數量すうりやうを増やす。
yi4 數量すうりやうを増やす。
shu1 送り屆ける。獻上けんじやうする。
chang2 返還する。
he4 (祝意を示すために)物を贈る。數量すうりやうを増やす。

 

教示・質問 「AにBを問ふ」「AにBを教へる」

『孟子・梁惠王章句下』

〔漢〕玉人彫琢玉

※「彫琢」は「磨く」といふ意味の動詞。「彫琢玉」は玉を磨くことの意味。

 

〔日〕寶石ほうせき職人に寶石ほうせきの加工方法を教へる

その名の通り「教へたり質問したりする」こと。

詳しく言へば、「動作主が何らかのモノA(直接賓語)を對象たいしやうB(間接賓語)に教へたり質問したりする」ことです。

 

教示・質問動詞になり得る字

この教示・質問にくわんする動詞を資料等から拔粹し、まとめました。

平仄 拼音 意味
平仄 jiao1/jiao4 教へる。指示する。
xun4 教へ導く。諭す。練習して身に付けさせる。
hui4 教へ導く。
shi4 示す。人に見せて知らせる。教へ導く。
觀(観) guan1 顯示けんじする。あらはす。示す。
yu4 つたへ知らせる。告げる。
gao4 告げる。目上の人から目下の人に知らせる。目下の人から目上の人に申しあげる。報告する。通知する。表明する。教へ諭す。
ren4 任せる。役職につける。自由にさせる。

 

命名・定義 「AをBとする」

このタイプの文を雙賓文さうひんぶんとして紹介してゐる資料はほとんど無く、わづかに『青蛙亭漢語塾・文法・五文型』に見えるだけです。

そのため命名・定義の文は雙賓文さうひんぶんとして一般的に認められてゐない可能性があります。

しかし結果的に雙賓文さうひんぶんのやうな構造の文になるので、このサイトでは雙賓文さうひんぶんとして紹介することにします。

 

A謂之B

『荀子・儒效』

〔漢〕事行失中,姦事

 

〔日〕事情と行爲かうゐとが妥當性だたうせいを失ふ、これを姦事といふ

ちなみに「事行失中」と「之」はイコールなので、「事行失中姦事」もしくは「事行失中於姦事」とすることができさうです。

つまり「A謂之B」→「謂AB」ですね。

しかし實際じつさいの漢文では「謂AB」は見られず、ほとんど「A謂之B」の文で書かれてゐます。

 

以A爲B

『史記・漢興以來諸侯王年表』

〔漢〕要之,以仁義

 

〔日〕これを總括そうくわつすると、仁義を基本とする

これも「以A爲B」を「爲AB」とできさうですが、多くの書籍ではもつぱら「以A爲B」になつてゐます。

つまり倒置した形が基本と思つていいんだね。

後輩

 

命名・定義動詞になり得る字

少ないですが、まとめました。

平仄 拼音 意味
wei4
爲(為) wei2

 

動詞の使動用法 「AにBさせる」

使動用法とは?

使動用法とは、「本來ほんらい使役の意味をもたない動詞や名詞・形容詞が、ある條件でうけんのもとで使役動詞となる」こと。

先輩

なんか難しい言ひまはしだけど、結局はただの使役形だよ
で、その「ある條件でうけん」つてなんなん?

後輩

  • 名詞・形容詞の下に賓語をつける
  • ふつう賓語をとらない動詞(自動詞)の下に賓語をつける
  • 賓語をつけられる動詞(他動詞)の下に2つの賓語をつけて雙賓文さうひんぶんにする

これだけで、使動用法になります。

 

使動用法の例

『韓非子・外儲說右上』

〔漢〕不左不右

 

〔日〕その馬を左に向かせても左を向かずその馬を右に向かせても右を向かず

この文で「左」は「左を向く」、「右」は「右を向く」といふ意味の動詞。

そしてこの2つに賓語「之」を付けることで、それぞれ「左を向かせる」「右を向かせる」になるわけです。

また「不左」「不右」は賓語をとつてゐないので、そのまま自動詞で「左を向く(向かず)」「右を向く(向かず)」です。

 

それを踏まへて、他動詞に2つの賓語を付けて雙賓文さうひんぶんにするとどうなるか、見てみませう。

『春秋左氏傳・襄公』

〔漢〕李氏大夫

 

〔日〕李武子は大夫に酒を飮ませた

「飮」は賓語をとることができます。「水・酒・茶」などですね。

さうして「飮水」「飮酒」「飮茶」はそれぞれ「水を飮む」「酒を飮む」「茶を飮む」になるわけです。

ここでの「水・酒・茶」は直接賓語になります。

 

そこにさらに人物の賓語、つまり間接賓語をいれると、例文の「大夫」になり、「大夫に酒を飮ませた」といふ文が書けるのです。

 

使動用法による使役文よりもオススメな文型がある

動詞の使動用法による使役文の書き方がわかりました。

しかし使役文にはもう1つの書き方がありまして、それは「使・令」などの字を用ゐた兼語式使役文です。

 

使役形の作り方は次の2つ。

  • 動詞の使動用法による雙賓文さうひんぶん
  • 「使・令」などの字を用ゐた兼語式けんごしき使役文

一般的に前者より後者の方が、使役形として使ひやすく、誤解・誤讀ごどくの可能性が少ないです。

小方伴子(2002)が「一般に、使動用法は漢代以降徐々にすたれていき、それを補ふかのやうに、使令兼語式が使役をになふ構文としてのひろがりをみせていく、といはれてゐる」と述べてゐるやうに、この使動用法は、時代が下るにつれて段々と影が薄くなつていきました。

 

先輩

なので、私たちが使役文を書くときは、兼語式使役文を使つたはうがよいでせう。

使役文については、そのうちどこかで記事を書きます。

 

使動用法になりやすい字

理論的には全ての名詞・形容詞・動詞が使動用法として活用可能ですが、資料から用例のある字をまとめました。

平仄 拼音 意味
yin4 飮み物を飮む。
fu4 背負ふ。負擔ふたんする。かうむる。
bei4 同上
sheng1 生じる。發生はつせいする。
qi4 嫁がせる。
pei4 服の裝飾品さうしよくひんなどを身につける。びる。

 

まとめ

先輩、なんだか雙賓文さうひんぶんが書けるやうになつたがするよ

後輩

先輩

後輩ちやんの場合、たぶん所爲せゐだらうけど、これで「AにBをあたへる」「AにBを問ふ」「AにBさせる」「AをBとする」の文が書けるね

 

本記事では雙賓文さうひんぶんの構造について紹介しました。

これらの文を使つて、普通の文よりも複雜ふくざつな文を書いてみませう。

 

關聯記事

 

註と參照文獻

參照文獻

▼論文

  • 牛島徳次(1964年2月18日). 「古代漢語の雙賓語について」. 「中國語學」. https://www.jstage.jst.go.jp/article/chuugokugogaku1955/1964/139/1964_139_1/_pdf/-char/ja>(PDF), 閲覽日: 2019年10月26日139, pp. 1-6.
  • 小方伴子(2002年11月26日). 「先秦・兩漢の使動用法と使令兼語式」. 「中國語學」. https://www.jstage.jst.go.jp/article/chuugokugogaku1955/2002/249/2002_249_1/_pdf/-char/ja>249, pp. 1-19.
  • 椿正美(2010年3月25日). 「六朝譯經の文體に見られる雙賓構造の特徴」. 身延論叢編輯委員會「身延論叢」. 身延山大學佛教學會. <https://minobu.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=346&item_no=1&attribute_id=22&file_no=1>(PDF), 閲覽日: 2019年10月26日15, pp. 91-107.

▼書籍

  • 加地伸行 等(2010年12月13日). 『漢文法基礎』. 講談社, 學術文庫, 608p.
  • 加藤徹(2018年12月10日). 『白文攻略 漢文法ひとり學び(第8刷)』. 白水社, 206p.

▼webサイト

  • haneta(2019年某月某日). 「これならわかるぜ! ためぐち漢文・漢文の基本構造篇」. 漢文の小窓. <https://ike-ike.sakura.ne.jp/softvoice/cgi/kanbunnokomado/files/medias/tameguchikanbun/tameguchi_kozo1.pdf>, 閲覽日: 2019年10月10日.
  • 植田眞理子(2016年某月某日). 「文法-五文型」. 青蛙亭漢語塾. <https://www.seiwatei.net/kanbun/index.cgi?htm=gobunkei>, 閲覽日: 2019年10月10日.

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